忘れにくくなるために

物忘れは病気でありません

物忘れは、誰にでもあることです。若い人にとっては、それほど物忘れの頻度は高くありませんが、歳をとると共に頻繁に忘れることが多くなる傾向があります。特に、50歳から60歳位になりますと、全般的な脳の機能が衰えてきますので、物忘れが増えるばかりでなく判断力や環境に適応する能力などもだんだんと落ちてきます。 物忘れと病気としての認知症は全く異なります。物忘れの場合には、例えば、さっきまで使っていたハサミを再度使いたいと思った時に、どこに置いたのか忘れてしまって探しまわるというようなことです。このように、物忘れは、ハサミを使っていたという事実は忘れていないのですが、どこに置いたのかを忘れてしまうような事、すなわち記憶の一部分を忘れることをいいます。

全てを忘れるのは病気です

物忘れは、記憶の一部を忘れてしまうことで、物事の記憶自体は忘れているわけではありません。ところが、物事の記憶全体を全て忘れてしまうようですと、これは病気の範疇に入ってきます。 例えば、歳をとったり、あるいはアルコールを摂取し過ぎたりしますと、昨日の夜の食事は何だったか忘れることはよくあります。しかし、食事をしたことは忘れていないでしょう。一方で、認知症などの病気の場合には、昨日の夜の食事をした事象自体を忘れてしまいます。 このような認知症の特徴は、ある事象の全てを忘れるため、同じ内容のことを何度も尋ねるようになったり、使った物をしまい忘れたりします。また、頭の中の地図の記憶が失われるために、一人で散歩に出て家に帰ってこれなくなるようなこともあります。